赤身の刺身

写真はミンククジラの刺身用赤肉である。 子供の頃は、鯨と言えばベーコンや焼き肉しか食べた事がなかったので、刺身で食べられるものだとは30近くになるまで知らなかった。 捕鯨問題に興味を持つようになってから、鯨の刺身をおいてある料理屋へ行く機会があって、どんな味なのか食べてみると、マグロと牛刺の中間のような感じであった。

ただ、魚介類の刺身一般と違って、ワサビよりはおろしショウガやおろしニンニクを薬味に用いるのが普通で、この点は、カツオと似ている。 カツオといえば、刺身やたたきを、通常とは違ってマヨネーズを薬味代わりに用いる食べ方が漁師の間にあるらしい。 鯨の場合もツチクジラのたれはマヨネーズで食べると抜群だったから、一度鯨の刺身でも試してみる価値はありそうだと思って試したら、通常のマヨネーズでは少し双方の脂肪分の相性が悪い感じがしたが、マスタード・マヨネーズだといける。 なお、「本皮」という鯨の皮下脂肪をごく薄くスライスして赤身に載せて食べる食べ方もあり、そういう2段構成のにぎり寿司を出す鯨料理店もある。

さて、以前は鯨の刺身を食べたくとも、近所のスーパーへ「今日は鯨があるかな」と見に行って期待はずれに終わるのがオチだったが、最近はインターネットのおかげで簡単に手に入るようになったし、そのほうが鯨の種類が明確である。 下の写真は、ネット上で買ったミンククジラの冷凍赤肉ブロックで、約180gある(隣の文庫本を参考に大きさを想像していただきたい)。

以前はジップロックに入れて空気を抜いて閉じ、35度程度のぬるま湯に入れて10数分で解凍し、ザルに置いて少し血を抜いてから切っていたのだが、最近になって、冷凍庫から出して十数分経つと、一見まだ固そうでも包丁で切れる事を知った。 実際、この方が思った厚さに切りやすい。

(2000年10月28日 更新)

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