(HNA(ハイ・ノース・アライアンス)発行 "The International Harpoon"(1996年6月)からの訳。
03-Mar-2001。
ある理由により、クックの性格は、作業部会の場に入ると衰退し、科学委員会の場に入ると復活するようである。
彼のそのような突然かつ頻繁な心変わりの原因は、恐らく他に求められるべきであろう。
クックはノルウェーの科学研究への最も辛辣な批評家のうちの一人であり、また、クジラの資源量を推定する分野で相当な専門知識を持つ科学者として、彼は最も重要な科学者の1人であった。
しかし、彼の信用は今では非常に落ちてしまい、もう誰も彼の真意が全面的に科学的であるとは信じることができない。
1年以上もの間、クックは、北東大西洋のミンククジラ系統群の資源推定を計算するために昨年科学委員会によって指定された資源量評価作業部会(AEWG - Abundance Estimate Working Group)で同僚達と緊密に仕事をしてきた。
作業部会は全会一致の合意に達し、科学委員会にその報告書を提出した。
報告書は、改訂管理方式(RMP - Revised Management Procedure)での使用に適切なものとして科学委員会が資源推定値を受理するよう勧告した。
クックはその年、作業部会が作業を行った方法や達成された結果に対して異論があることを暗示するような態度保留を何も表明してはいなかった。
科学委員会報告書によると、作業部会の他のメンバーは単に驚いてみせたのではなく、心底驚いた。
彼らが説明を求めた時、クックは人間は孤立した立場にいる場合には同僚の意見に合わせる傾向があるという心理学的事実に言及した。
報告書には書かれなかったが、何人かの代表的な同僚達が語ったところによると、彼は性格の明白な弱さに自身の行動が起因するとした。
作業部会の同僚は驚くだけでなく、非常に立腹し、最後の瞬間で考えを変更することへの彼の説明を受け入れなかった。
報告書は彼らの怒りをこう記録している「科学者が彼らの見解を表現し変更する権利は強く支持するものの、作業部会は今回の場合それが行われた方法が承諾しがたく、また科学委員会の仕事にとっての妨害であると考えた。」
科学委員会報告書はさらに、クックの作業文書がAEWGの他のメンバーへの不正であり、この作業に参加しなかった読者に誤解を起こさせるものであることを、同僚達が見いだした、と述べる。
同僚の仕事へのそのような非難は科学委員会報告書の歴史に先例がない。
これは改訂管理方式の採用を遅らせるための周到な試みだと思う、とノルウェーのチーフ科学者Lars Walleは当時我々に述べた。
当時と今のクックの振る舞いの類似点は目を引く。
クックは、RMPのための自身の提案を評価する多くの時間があった。
2年の間、彼は徹底的にモデルを改訂して開発してきており、RMP作業部会の同僚と定期的にそれについて議論した。
この過程で彼は、自分の複雑な作業に関する疑問を示す事も、他のモデルがより好ましいと示唆する事もなかった。
しかし、クックの歴史は、レイキャビクのかなり前から奇行の兆候を示している。
今をさかのぼること1983年に、クックを含む英国の3人の科学者のグループが、北東大西洋のミンククジラの頭数についてのノルウェー人の同僚の研究を酷評する匿名の批評を回覧させた。
彼らは、ノルウェー人と協力するという当初の保証にもかかわらず、ノルウェー人が批評に返答する機会を与えないまま、それを回覧させたのだった。
英国の研究者が犯人だと判った時、彼らは後悔を示したが、それでもなお、批判は別の論文の中で向けられた。
これらの研究者の研究は、資金がグリーンピースによって提供されていた事が後に露見した。
クックは昨年、資源量評価とRMPの彼の研究が、グリーンピースとIFAW(The International Fund for Animal Welfare - 国際動物福祉基金)によって資金援助を受けてきたと我々に語った。
これら2つの反捕鯨団体は今、北東大西洋のミンククジラの最新の資源評価が、「科学者達は資源評価で意見が一致できないでいる」という、ノルウェーのミンククジラ捕鯨への彼らの反論を脅かすので、非常に不満である。
グリーンピースとIFAWは、彼らが資金援助した男が資源量推定で合意へ至らせる過程で重要な役割を果たす中、どうやって、科学者が意見不一致で調査の質も貧弱だったという印象を維持する事ができえただろうか?
AEWGの仕事への彼の貢献によって、クックは、ノルウェーの捕鯨管理の科学的基盤に実際に重要な貢献をした。
これは彼の仕事に資金を提供することに合意した際に、グリーンピースとIFAWが考えていたものでない事は確かだ。
同様に確かなことは、クックは単に彼の弱い性格のためにAEWGの成果の「欠陥」とやらを見つけたわけではないということである。
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原題:"Why This Sudden Change of Mind?")
「性格の弱さ」、ジャスティン・クックは彼の突然の心変わりの言い訳として、IWCの科学委員会でこう述べた。
それに対し、彼の同僚達はドッと笑った。
驚くほかはない
しかしながら、科学委員会の年次会議が始まるほんの数時間になって、クックは、作業部会における課題の扱い方や結果に関する異議の長いリストを含む作業文書を提出した。
彼は、もはや科学委員会が資源評価を採用するのを支持できなかったのだ。
別の心変わり
1992年にレイキャビクで、改訂管理方式(RMP - Revised Management Procedure)のための自分の提案が良くなかったと彼が科学委員会に不意に伝えた時、クックは優柔不断のかどで同様の非難を受けた。
クックの提案が検討対象となった5つの方式の中で最良だと科学委員会が合意するとすぐに、少なくとも科学者の集まりの中では初めて、彼はこの見解を述べたのだった。
より信用できる説明
クックの突然の心変わりについて説明しようとする人々の試みは、資金の出所に集中した。
想像ではあるものの、これらの説明は、弱い性格だからというクック自身の説明よりは説得力がある。