誰がアイスランドを落胆させたか?

(HNA(ハイ・ノース・アライアンス)発行 "The International Harpoon"(2001年)からの訳。 30-Mar-2002。
原題:"Who let Iceland down?")




もしもオーストリア、フランス、スイスが彼ら自身の行動と議論の一貫性を保っていたら、IWCはアイスランドがモラトリアムに異議申し立てしたまま加盟するのを拒絶できなかったはずである。

アイスランドの加盟に対する反対動議を出したオーストラリアとアメリカは、仲間の国々と共に「政治力で国際法を踏みにじらせた」のである。 だがそれは、捕鯨問題においては驚くほどのことではない。

驚くべきなのは、オーストリア、フランス、そしてスイスの投票における姿勢である。 肝心の投票において、これら3カ国だけが「棄権」という道を選んだ。


国際法に反する

アイスランドの加盟に関して投票するのは「国際法に反する」とスイスは討議の場で述べた。 また、フランスは「法的な観点から言えばIWCはこの点で投票を実施する権限がないと思う」と主張した。

当然なことだが、フランスとスイスは他の16カ国と一緒に、「IWCはアイスランドの加盟を受け入れるかどうかを決める権限があるか」という最初の投票では「ノー」に投票した。 オーストリアはこの投票には参加しなかった。

そして次の投票において、「IWCはアイスランドの加盟を受け入れるかどうかを決める権限がない」と主張していた16カ国は、自身の主張どおり投票には参加しなかった。 だが、オーストリア、フランス、スイスはそうではなかった。


定足数

IWCの投票では「定足数」の概念があるため、投票に参加することを選ぶのは重要な意味を持つ。 これは、IWCが何かを決める際には、ある一定数の加盟国が投票に参加しなければならないことを意味する。 IWCの手続き規則には「過半数の加盟国が投票に参加する場合に定足数は満たされる」とある。

43の加盟国があるから、22カ国が投票に参加すれば定足数は満たされる。 そして、アイスランドの加盟を拒否する投票に参加したのが22カ国だった(賛成19カ国に棄権が3カ国)。

言い換えれば、もしこれら3ヶ国のうち1カ国でも「投票に参加しない」道を選んでいれば、IWCはアイスランドの加盟について何も意見表明ができなかったことになる。 それゆえアイスランドは完全に加盟でき、投票権も持てたはずである。

オーストリア、フランス、スイスは、「棄権」という形で投票に積極的に参加した。 フランスとスイスの言葉を借りれば、彼らがしたのは「国際法に反する」行為であり、彼らは「投票する権限がない」問題について投票行為に加わったことになる。

「棄権」と「投票に参加しない」の差は小さい。 だが、彼らの行動はIWCを「加盟条件を満たした国がオブザーバーに格下げになった」という前例のない状態を生み出した。

そこで起こる疑問は、彼らの行為は意図的だったのか、それとも無能の産物なのか、ということである。 決定にもかかわらず、アイスランドは捕鯨モラトリアムに異議申し立てをした加盟国であると我々は主張する。

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