(HNA(ハイ・ノース・アライアンス)発行 "The International Harpoon"(2001年7月)からの訳。29-Dec-2001。
ニュージーランドの環境保全大臣であるサンドラ・リーは、自分の利益に沿うように物事を曲げる手腕を発揮することによって、自身が進める南太平洋鯨類サンクチュアリー提案が南太平洋地域の原住民の島国によって全会一致で支持されたと主張する。
このいくぶん意外な事実は、サモアの首都アピアで開催された閣僚級会談を受けてリーの事務所が行なった6月28日のプレス・リリースに見てとれる。
会議はニュージーランド、オーストラリア、フランスの発案と費用で開催された。
実際には、会議の場での「支持」というのは両面性があり、この地域が全会一致の同意を示したとは言えないものであった。
会議に招かれた原住民の国々のうち、ソロモン諸島、パラオ、ミクロネシア、バヌアツ、ナウル、マーシャル諸島など少なくとも6カ国は参加すらしなかった。
更に会議は、サンクチュアリーが達成された場合にはIWC加盟国のみが拘束されることに言及した声明を出したが、この地域ではソロモン諸島のみが加盟国である。
他の国々にとっては、自国領海内にサンクチュアリーを設定するかどうかは、「IWC非加盟国である各国の主権に任せられて」いる。
また、この声明では大型鯨類が漁業資源に与える影響についていくつかの国が抱く懸念も盛り込まれている。
ではいったい、この会議は何を支持したのだろうか?
声明を引用すると会議は「オーストラリアとニュージーランドが、南太平洋の島国の首脳会議に先立って、7月のロンドンでのIWCに南太平洋サンクチュアリーを再提案する事」を、「原則として支持」するということになる。
これは会議が、ニュージーランドとオーストラリアが南太平洋の島国と協議することなく再提案することを適切と考えていることを意味するのだろうか?
もしそうなら、これはサンクチュアリーそのものへの支持ではなく、議論の時期だけを支持していることになる。
それとも、この声明は単に、オーストラリアとニュージーランドがIWCの場に議論を持ち込むという意思を認めるにすぎないのだろうか?
無論、真相は、会議の声明が省略した部分にある。
もし、リーが言うように会議が彼女のサンクチュアリー案を「全会一致で支持」したのなら、なぜこの点が明確に強調されていないのだろう。
リーは「IWCの新加盟国やその他の地域の加盟国が南太平洋の原住民の島国の意見を尊重することを希望する」と述べている。
我々は、リー自身が彼らの意見を尊重するよう望むし、今回のように、彼らを彼女自身の目的に適合させるというのでは先が見えている。
彼女には、サンクチュアリーはIWC加盟国以外を拘束しないという彼らの意見を尊重する気があるだろうか?
また彼女には、彼女の利益のための会議に参加しなかった原住民国家の意思を尊重する気があるだろうか?
そして彼女は、母国のニュージーランドでサンクチュアリーに反対している原住民であるマオリ族の意思を尊重する気があるのだろうか?
マオリ族は会議に招かれもしなかったのである。
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原題:"Sanctuary Architect Dreams of "Unanimous Support"")
いったい何を支持?