野生生物の持続的利用を支持するNGO「国際野生生物管理連盟(IWMC)」の2004年CITES(ワシントン条約)締約国会議に関するニュース・レターから
ブラジルとイギリス(EU代表)は、自身が加盟しているIWC(国際捕鯨委員会)が既にRMP(改定管理方式、 訳注:鯨の捕獲枠の算定法で、安全を見込んで非常に慎重で控えめな方式)を採択しているのを忘れて無知をさらけ出した。
RMS(改定管理制度)の一部であるRMPでは、鯨の資源状態やその推定値の不確実さを十分に考慮に入れ、鯨の資源量を捕獲前の90%程度に安定させようとする。
これは漁業一般の標準に比べるとはるかに高い資源水準を維持するものであるが、イギリスの環境大臣であるエリオット・モーリー(Elliot Morley)は、北海の漁業資源に関して(訳注: 北海ではタラなどの漁業資源の枯渇が懸念されている)、この漁業一般の標準ですら自国の漁業者に課することに消極的なようである。
実際彼は、海洋資源の管理においては、資源量が捕獲開始前よりいくらか減ることが持続的捕獲のために必要となるという、最も基本的な原理すら理解できていない
ことを露呈した。
RMPのもとでの捕獲はブラジルが目指すような鯨の非消費的利用を危うくすることは決してない。
両者が両立できることは、ノルウェーでのミンク鯨や北東太平洋でのコククジラで実証されている。
グルジア共和国は、北西太平洋においてはミンク鯨の日本海の系統群(Jストック)が1000頭以下しかいないと主張した。
しかし、この数字はIWCの科学委員会で支持されてはいない。
実際、この資源が深刻に枯渇していると分類された際に用いられた捕獲トレンドは誤っていることが今日では知られている。
オーストラリアが北西太平洋のミンク鯨の系統群構造には不確定性があると指摘したのは正しい。
だがオーストラリアは、そのような不確定性がRMPにおけるコンピューターの試算の中に既に組み込まれていることには触れなかった。
実際のところ、これら反捕鯨国の主張は捕鯨問題の根底にある文化帝国主義的政策を隠すための見え透いた言い訳である。
これらの国々は鯨を消費的に利用しないと決意しているが、自分たちの文化的基準を他国に押し付けるという本当の目的の代用として科学を悪用すべきではない。
そのようなことをすれば、CITESの科学的信頼性やCITES自身、ひいてはCITESの称賛すべき目的までが犠牲になるであろう。
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原題:"The Minke Debate - Anti-Whalers resort to Misinformation")
昨日のCITES(ワシントン条約)会議では、反捕鯨国が自分たちの主張を広めるためにウソ情報に頼らざるを得なかったことで、反捕鯨の主張の脆弱性がまたもや露呈された。