(1993年発行のブックレット)
海の幸に感謝する会、(財)日本鯨類研究所
Q1: 鯨は何種類いますか。
鯨は大きく分けてヒゲクジラと歯クジラの2種類に分かれます。
ヒゲクジラは主として沖アミや小さな魚を海水と共に口の中に入れ、ヒゲでこして
呑み込みます。
シロナガスクジラやミンククジラなど10数種類がいます。
歯クジラはイカや魚を歯でとらえて呑み込みます。
マッコウクジラやイルカ類など70種類にのぼります。
鯨には80種類程度のものが知られていますが、このうち伝統的に捕鯨の対象と
なったのは、シロナガスクジラ、ナガスクジラ、イワシクジラ、マッコウクジラ、
ミンククジラなどです。
捕鯨の対象でないカワイルカなど、少数の種類を除けば、本当に絶滅に瀕している
鯨はいません。
一口に鯨といっても大きいものは体長30メートルに達するシロナガスクジラから、
小さいものは1メートルそこそこのコビトイルカまで多様です。
普通4メートルより大きいものをクジラ、これより小さいものをイルカと呼んで
います。
かつての鯨乱獲時代に大型の鯨であるシロナガスクジラ、ナガスクジラ、セミクジラ
などはきわめて低い水準にまで減少しました。
しかし、これらの鯨類は完全に保護されています。
一方、南氷洋や北西大平洋および北大西洋のミンククジラ、あるいは北西太平洋の
ニタリクジラのように、捕獲の対象にできるほど資源状態のよい種類もあります。
票の上で圧倒的な力を持つ反捕鯨勢力が乱獲を許すわけがありません。
ただ、国連人間環境会議が開催された1972年以降、科学委員会に大きな
変化が生まれました。
その直後に開催されたIWCの科学委員会が、国連人間環境会議が採択した
「捕鯨の10年禁止決議には正当な科学的根拠がない」と全会一致で結論した
からです。
このため翌年から米、英などの反捕鯨国は、自国の科学者の総入れ替えに近い
ことを行い、保護主義的色彩の濃い科学者、反捕鯨団体のリーダーたちを科学
委員会に大量に送りこみました。
その結果、73年以降の科学委員会では、以前のように答申を一本化しようと
する努力は行われなくなり、反捕鯨の立場に立つ学者は、むしろ自己の意見を
そのまま答申の中に独立した提案として盛り込み、本会議では、票の力で、
これを採択し、次々と自分たちに都合のよい結論を押しつけたのです。
しかし、それにもかかわらず、「捕鯨モラトリアムには科学的正当性や
必要性がない」とする科学委員会の判断には、最後まで彼らもチャレンジできません
でした。 (わずかでも捕獲すれば、生態系が乱されるなどという主張が、科学的に
成立するわけがないのは当然です)
IWCが定義する保護資源には、75年以降とそれ以前では、本質的な差があります。
1960年代前半までに、英国、オランダが採算上の理由から、南氷洋捕鯨から撤退
すると、IWCは急に規制の強化に乗り出し、70年代に入って、シロナガスクジラ等、
乱獲によりいためられた資源を保護資源に指定しました。
遅すぎた保護といってもよいと思います。
しかし、75年以後の禁猟措置をこれと同列に置くことはできません。
新しい資源管理のルールが採択され、保護資源にまったく新しい定義が導入された
からです。
前にも触れましたが、IWCの科学委員会は、1972、73年の会議で再度にわたり、
「捕鯨モラトリアムには科学的正当性も必要性もない」と全会一致で答申しました。
このため1975年、ついに米国はオーストラリアなどと図り、捕鯨モラトリアムに代わる措置として、新しい資源管理方式を提案し、これが翌年採択されました。
この方式は、捕鯨の対象を資源状態が極めて良いものに限定し、もし、その資源が
最大持続的生産量を実現する水準(MSYレベル)以下と判定されれば、
これを保護資源に指定するというシステムです。
以前の保護資源の定義が、絶滅の危険のある水準を念頭においたものとすれば、
新しい定義は、資源の年々の増加が最大になる水準を基準に考え、捕鯨の対象をこの水準
を超えた豊かな資源に限定したのです。
しかし、この新しい定義には、当時、日本の学者が指摘していたように学問的にいろいろ
困難があります。
具体的にどこにその水準を設定するのか、いろいろな仮定を置く必要があります。
保護主義の立場に立つ学者は、これをうまく利用しました。
例えば、彼らは処女資源水準(資源が開発される以前の水準)を不当に高く推定する
一方、現在の資源水準を非常識と思われるほどの低いレベルに推定することによって、
できるだけ多くの鯨種を保護資源におとす提案をし、票の力をもって本会議で採択
させるという手段をとったのです。
しかし、そうした彼らのやり方をもってしても、南氷洋のミンククジラや北西太平洋の
ニタリクジラなどについては、最後まで新しい定義による保護資源に分類することは
できなかったのです。
IWC科学委員会が推定している主要鯨種の資源量は次のとおりです。
Q1: IWCで商業捕鯨中止が採択されたあとも、世界の各地で捕鯨が
行われていますが、なぜですか。
現在、世界で行われている捕鯨は次の3つのタイプです。
(イ) IWCがみとめている原住民生存捕鯨
(ロ) IWCの管轄外にある小型鯨類の捕獲
日本の沿岸では昔からツチクジラ、ゴンドウクジラ、イルカなどの小型鯨種を捕獲
しており、日本政府の監督下で行われています。
もちろん、資源量に見合った捕獲枠も設けられています。
日本以外でも、デンマーク(フェロー諸島)などがゴンドウクジラなどの小型鯨類を
少量捕獲しています。
(ハ) IWC非加盟国による捕獲
捕鯨を重要な産業としているアイスランドは1992年にIWCを脱退しました。
「IWCの現状は鯨類の合理的利用をうたった国際捕鯨取締条約の精神を踏みにじって
いる」という理由からです。
ノルウェーは1982年に採択された商業捕鯨モラトリアムに異議の申し立てをしています。
これにより、ノルウェーはIWCの決定には拘束されることなく、捕鯨を継続できます。
日本も同様に、異議申立てをしたのですが、アメリカが同国沿岸での日本の漁業を報復
的に終了させると圧力をかけたため、1986年にこれを撤回しました。
したがって日本は、現状ではIWCが管轄する大型鯨種を対象とした捕鯨はいっさいできません。
科学調査とその目的のための鯨の捕獲は国際捕鯨取締条約第8条の規定により、各国政府
の固有の権利として認められています。
1982年にモラトリアムが採択された時、反捕鯨国側が最大の根拠とした理由が
「現在使われている科学的データには不確実性がある」ということでした。
つまり、鯨の生息数、年齢や性別構成、自然死亡率などについての知見があいまいであり、
そのために安全な資源管理ができないと主張したのです。
わが国の捕獲調査は、このような疑問に直接対応するために始められたものです。
IWC科学委員会の多くのメンバーは捕獲調査の意義を認めていますし、日本の調査
結果を高く評価しています。
1992年のIWC本会議では、反捕鯨国も例年の再考決議を大幅にトーンダウンし、
決議の主旨を「捕獲調査内容の一層の改善を求める」とするにとどめました。
捕獲調査は商業捕鯨の隠れみのという人がいますが、これは捕獲調査の実態を知らない
人の無責任な指摘です。
鯨の調査は、専門の学者があらかじめ作成したデザインに基づいて船を運航させて、
若干の捕獲を行い、耳こう栓や卵巣などの標本を採取します。
調査した後の鯨体は、完全に利用することが、条約で決められていますので、冷凍品に
して持ち帰り市場に出しています。
しかし、調査のための経費は膨大であり、鯨製品の販売代金でその経費をカバーすること
はできません。
調査は1987年から水産庁の外郭団体である(財)日本鯨類研究所が、国からの補助を
受けて実施しています。
南氷洋は広大な海域です。
採取標本数は限られており、また1回で調査できる範囲は限られています。
ですから毎年、調査を実施する必要があります。
また、鯨資源の管理に必要なデータは、時系列的なものでなければなりません。
継続的な標本採取は資源調査の精度を高めることに不可欠です。
日本鯨類研究所はバイオプシーという、皮膚を採取して検査するための皮膚採取銃を
開発して、すでにこの種の鯨の非致死調査を行っています。
しかし、皮膚のDNAからは、性別、親子関係など、ごく限られた情報しか得られ
ません。
このため捕獲調査によってしか得られない耳こう栓や、卵巣などの標本を取り、
年齢構成、妊娠状態や妊娠歴などを調べています。
Q1: 捕鯨論争はいまや資源などの科学面を超えて、鯨に対する動物観の違いに
移っているようです。
欧米諸国のほとんどが捕鯨に反対しているのであれば、日本も国際協調の精神から
捕鯨を放棄したほうがプラスになるのではないですか・・・。
そうは思いません。
動物観の違いは民族の文化そのもので、お互いが干渉したり、非難したりすべきもの
ではありません。
反捕鯨国は鯨を聖獣視し、「人道的捕殺がなされていない」「捕鯨は倫理に反する」
ということを言います。
それでは昔、欧米の実施していた捕鯨は人道的捕殺をし、倫理にも反さなかったので
しょうか。
この反論に対し欧米人は「だから捕鯨を止めた」と言うでしょう。
しかし、それは詭弁です。
欧米の捕鯨は昔の帆船式捕鯨や近代捕鯨でも採油が目的でした。
石油や他の食用油が出回り、産業として成り立たなくなったため、自然に消滅
したのです。
一方、日本は肉を主体に丸ごと利用し、鯨肉に対する強い嗜好があるため、依然として
産業として立派に成り立つのです。
欧米では、反捕鯨の風潮が強いのは確かですが、決して100%ではありません。
アングロサクソン系の国は一般に反捕鯨ですが、アイスランド、ノルウェー、
デンマークなどの国は鯨を食料の対象と見ています。
またアングロサクソン系の国でも極端な反捕鯨運動に疑問を呈する声は上がって
います。
例えば92年6月30日付け英国のタイムス紙は「動物の福祉という問題を国際
協定によってしばるのは適切でない」と指摘し、資源が大きいミンククジラの
捕獲禁止は条約の主旨からみて、もはや適当ではないと結論しています。
私たちは捕鯨の是非をあくまでも資源を中心にした科学論に基づくべきとの
考えを持っています。
それがもっともフェアーな論拠だと考えます。
一方、いろいろな思惑から捕鯨に限らず公海での漁業を禁止したり、極端に制限
したりする動きがあることも事実です。
しかし、こうした考え方は、海洋資源の合理的利用に有害なだけではなく、結局は
海洋分割につながる思想です。
不健全なエゴイズムという外はありません。
この提案は、昨年のIWC会議に突如提案されてきたもので、何が何でも捕鯨を阻止
したいとする反捕鯨国の最後のあがきであることは明白です。
また南氷洋を含め、すべての水域に合理的な鯨類の保存と利用に関するシステムを
作りたいと願うわが国と、それより自国沿岸での捕鯨の再開を願うノルウェー、
アイスランド、デンマーク等との間を分断したいとの狙いであり、せめて南氷洋に
だけ、捕鯨の禁止を実現したいと考えての提案に違いありません。
しかし、76万頭以上も生息する南氷洋のミンククジラについて、科学者の認める
量の捕鯨も認めず、10万頭の北大西洋ミンククジラについて、これを認めると
いうのも、科学的にみて納得のいかない話です。
サンクチュアリ提案には、実は、伏線もありました。
92年6月、リオ・デ・ジャネイロで開かれた国連環境開発会議にニュージーランドが
捕鯨の10年禁止を提案したことです。
提案の中で、同国政府は「IWCで改定管理法式が完成すれば、捕鯨の再開は阻止
できない」と述べています。
反捕鯨側は、科学を葬るための最後の切り札としてサンクチュアリを出してきたのです。
1992年のIWCでは、本格審議に至らなかったため、93年に改めて議題にのぼる
ことになっています。
なお、92年のIWCでは、改定管理法式によって南氷洋ミンククジラの捕獲枠を試算
したところ、年間2000頭という数字が出てきました。
わが国はこれを根拠に商業捕鯨の設定を強く主張する方針です。
南氷洋をサンクチュアリへとすることは、決して健全な生態系を取り戻すことには
なりません。
生態系の一部、とくに、その頂点にある生物を完全保護することは、それが、低水準
にあるときを除けば、かえって生態系のバランスを損ない、また、ひいては当該
保護資源の不安定化をも招くというのが常識です。
また、IWC科学委員会が提案している改定管理方式は、大きな資源からわずかな量を、
しかも広い海域から薄く捕獲させるというもので、これが生態系に対する不安定要因
になりうるなどとは、冗談以外の何ものでもありません。
IWC条約は、条約の中で規制対象鯨種を限定しており、ツチクジラなどの小型鯨類は、
この中に入っていません。
これらの小型鯨類は沿岸性であり、世界単一の資源ではなく、狭い海域ごとに系統群
が分かれています。
このような鯨種については、沿岸の漁業資源との関連があるので、IWCで一括して
管理するより各国、あるいは関係地域の漁業機関で管理する方が適切な措置が取れます。
また、実際問題としても関係国は内陸国を除くすべての沿岸国になりますから、
100カ国を超えることになり、とてもIWCで管理するなど現実的ではありません。
IWC加盟国の多くも、小型鯨類の管理は、それぞれの国に任せるべきであると考えて
います。
日本近海の小型鯨類については、水産庁が資源調査に基づいて毎年の捕獲枠を決めて
います。
鯨の知能が高いと主張する人たちは、その根拠として、鯨の脳が大きいことを
あげています。
大きな頭部を持つ鯨の脳が他の動物の脳より大きなことは当然です。
動物の脳の大きさを比較する場合は、単に重さだけでなく、体重比で見るべき
です。
シロナガスクジラの脳の体重比は平均0.007%で、人間の場合は1.93%です。
鯨類でもっとも高いのはネズミイルカの0.85%です。
それでは、ネズミイルカは人間の半分ぐらい知能が高く、シロナガスクジラは
ネズミイルカの100分の1以下の知能しかないかというと、決してそうでは
ありません。
脳重の体重比率で、知能の高低を判定することはできないのです。
鯨の世界的権威の故シュライパー博士は「鯨のように主に尻尾を振って運動する
動物が、手足を巧みに使うサルより、高度に分化した脳を必要とするのか理解
できない」といっています。
また、英国ケンブリッジ大学の教授であり、IUCN(国際自然保護連合)の
種生存委員会の委員長であるマーガレット・クリノウスカ博士は、
「大多数の鯨の脳は特に大きくもなく、複雑でもない」と断じた後、
「鯨類の行動様態にも、牛とか鹿の群れ以上の複雑性は認められない」と述べて
います。
Q1: IWCの加盟国数と補鯨国、反捕鯨国、中立国の内訳は。
IWCは1946年に締結された国際捕鯨取締条約によって1948年に設立され
ました。
当初は捕鯨国とかつての捕鯨国15カ国で発足しましたが、鯨の乱獲により採算が
取れなくなったオランダ、英国が、捕鯨をやめた1960年代からは鯨の保護に力を
入れるようになりました。
1970年代後半からは捕鯨禁止をめざす国の加盟が目立ち、1982年には
多数決で商業捕鯨のモラトリアムを採択しました。
現在の加盟国は38カ国。
捕鯨再開を強く主張する国は日本、ノルウェー、デンマーク、ロシアなど少数です。
中立国としては中国、韓国、セントルシア、セントビンセント、ドミニカ連邦などがあり、
あとは反捕鯨国です。
この中でもっとも強硬な反捕鯨国はニュージーランド、豪州、イギリス、アメリカ
などアングロサクソン系の国々です。
同条約の目的として (イ)鯨類の保存と適切な利用、(ロ)捕鯨産業の健全な育成
などが、前文に明記されています。
しかし、反捕鯨NGO(非政府機関)をバックにした多数の反捕鯨国に思うままに
運営されたIWCは、条約の目的から逸脱した規則を次々と打ち出してきました。
条約違反のもっとも顕著な例が、商業捕鯨モラトリアムの採択です(1982年)。
条約によると、すべての資源保存措置は科学的根拠に基づかなければならないと
なっています。
一方IWCの科学委員会は過去に一度もモラトリアムを勧告していません。
グリーンピースなどのNGOが捕鯨と全く関係のない国々をIWCに加盟させ、本会議
で多数の力を持ってモラトリアムを採択したのです。
この条約は1946年に締結されていますが、締約国がこのように、条約の目的や
規定を公然と無視することは、単にIWC条約の違反だけでなく、条約の忠実な
実行を求めるウィーン条約の違反でもあり、許さるべきことではありません。
_
I 鯨の資源
Q2: 鯨はすべて絶滅に瀕しているのではないですか。
Q3: しかし、それでも国際捕鯨委員会(以下IWCと略称)は72年以降、
ナガスクジラ、イワシクジラ、マッコウクジラ等の資源を、保護資源に指定
しています。
乱獲は、1982年の商業捕鯨モラトリアム(一時中止)の成立まで続いた
のではないですか。
Q4: くどいようですが、76年の南氷洋のナガスクジラの保護資源指定 --
禁猟など
一連の禁猟決定は、例え、保護主義の色彩の強い学者の発言でも、それなりの科学的
根拠があったのではないですか。
Q5: IWC科学委員会では、世界の鯨資源量をどの程度に推定しているのですか。
種類
海域
生息頭数
ミンククジラ
南氷洋
北太平洋西系
北大西洋全体 760、300 (d)
28、000 (e)
74、700 ー 145、200 (d)
ニタリクジラ
全海域
北太平洋西系 90、000 (a)
22、600 (c)
マッコウクジラ
全海域
1、950、000 (a)
ホッキョククジラ
アラスカ系
7、800 (a)
セミクジラ
南半球
3、000 (a)
コククジラ
カリフォルニア系
24、400 (g)
ザトウクジラ
北大西洋西系
5、800 (b)
シロナガスクジラ
全海域
14、000 (a)
ナガスクジラ
全海域
120、000 (a)
イワシクジラ
全海域
54、000 (a)
ツチクジラ
日本沿岸
4、220 (f)
(b) Rep. int. Whal. Commn 34:54 (1984)
(c) Rep. int. Whal. Commn 36:249 - 55 (1986)
(d) Rep. int. Whal. Commn 41:(in press) (1991)
(e) Rep. int. Whal. Commn 32:283 - 6 (1982)
(f) Rep. int. Whal. Commn 39:117 (1989)
(g) IWC/SC/44/PS1 (1992)
II 捕鯨の現状
アラスカでのホッキョククジラ、ロシア・極東地方でのコククジラ、
デンマーク(グリーンランド)でのナガスクジラとミンククジラ、
セントビンセントでのザトウクジラなどが、原住民の生存のための捕鯨
として認められています。
IWCは大型鯨種だけを管轄しており、イルカ類などの小型鯨類は管轄の
対象にしておりません。
カナダのホッキョククジラ、インドネシアのマッコウクジラ・ニタリクジラ、
スリランカのマッコウクジラ、南太平洋諸国のザトウクジラなどが捕獲されて
います。
これらの国は、IWCに加盟していないため、IWCの規制を受けません。
Q2: 伝統的な捕鯨国である、アイスランドとノルウェーは、現在捕鯨を
しているのですか。
Q3: 日本の捕獲調査については、IWCでは認められていないとか、
擬似商業捕鯨という指摘がありますが...。
Q4: そんなに費用がかかるのにどうして毎年実施するのですか。
2 - 3年に1度でもよいと思いますが。
Q5: 鯨を殺さないで、皮膚の1部だけをとってDNA等を調べれば十分という
声もありますが。
III 捕鯨の是非
Q2: 公海の鯨は世界人類共通の資源であり、日本人だけが獲るのは許されない、
との声が上がっていますが・・・。
短絡的な、偏った意見です。
1982年の国連海洋法条約は、海の資源をすべて人類共有の資源という見方から、その
存続と合理的利用の責任と義務を、200カイリ内については当該沿岸国に、
200カイリの外の公海部分については、国際社会に負託することとしています。
国際捕鯨取締条約は、1948年に発効した古い条約ですが、その点ではさらに一歩進め、
対象資源が領海内にあっても、これを人類共有の資源とみなし、その保存と合理的利用を
締約国の合意、つまり国際社会に負託することとしています。
また、わが国だけが独占的に、また特権的に利用することを主張しているわけでは
ありません。
資源のごく一部、経済でいえば、年々資本から生ずる利子の一部を利用するというのが、
わが国の基本的立場です。
その立場は、沿岸であろうと、公海であろうと、基本的には変わる所はありません。
Q3: 南氷洋は鯨類の最後の宝庫です。
ここを鯨のサンクチュアリ(禁猟区)とすることは世界の人にロマンと安堵感を
与えます。
日本は自国の200カイリ内だけで捕鯨を続けるべきでないですか。
Q4: ツチクジラ、ゴンドウクジラ、イルカなどの小型鯨類はなぜIWCが管理
していないのですか。
当然IWCが一括して管理すべきだと思いますが・・・。
Q5: 反捕鯨の主張の中には、鯨類の頭脳の高さが強調されています。
どの程度頭がいいのでしょう。
IV IWCの現状
Q2: 国際捕鯨取締条約の目的は何ですか。