("Report of the Scientific Committee (Rep. Int. Whal. Commn 48, 1998)" からの該当部分の訳。
Bannisterは開会の辞において、議題の草案の基本となった考えのいくつか、特に会合の権限より生じる次の2つの要素が議論で反映される必要について
言及した。
(1)実施された個々の調査とその結果。
会合では、IWCの決議という意味での結果の利点を判断して、最後の作業項目以外すべてを完了した。
より一般的な作業は科学委員会の全体会議に回された。
JARPA(訳注)の以下の5つの要素が検討された。
目視調査と資源量推定、系統群構造、生物学パラメータの研究、海洋生態系の研究、環境変化に関する研究。
各要素について、作業部会は以下の点を検討した。
当初及び追加の調査目的を含めた背景、データ収集の方法論、データ分析、結果、JARPAと資源管理の目的という文脈における結果の可能性。
(1)南半球ミンククジラの資源管理を改善するための生物学パラメータの推定
その後、計画の自然な進歩の一環として、また、開発要求に答える形で、2つの目的が追加された。
(3)鯨類に対する環境変化の影響の解明
JARPA調査の概要
JARPAの調査手順のたびたびの変更が留意されたが、会合ではデータ収集法における適切な比較可能性は保たれてきたと考えた。
IDCR航海で用いられた調査方法との1つの重要な相違点が留意された。
IDCR航海では1日の調査は前日の終わりの場所から開始された。
しかし、JARPAでは1日当りの進出距離が設定され、もし1日のうちにこの距離が達成されない場合にはその日の予定トラックラインの残りは調査されず、翌日の調査は前日の目標地点(そこまで達成されたわけではない)から開始される。
この手順では、鯨に接近して採取する時間のために、より少ない距離がその日の調査でカバーされる事になって、鯨の密度が高い海域では目視調査不足を招く可能性がある。
この点は以下に議論される資源量推定と標本採集の代表具合について関連がある。
さらに論文SC/M97/23は、上に述べた調査方法の違いに起因する鯨の高密度海域におけるJARPAの調査不足を補正する試みをしている。
この試みでは、毎日の目視された鯨の数を、各日の進出距離と実際の目視調査距離の比率から修正することを伴う。
以前は科学委員会において、JARPAによるミンククジラの資源量推定がIDCRのそれに比べて格段に低い事に関心が示されていた。
SC/M97/23におけるBurtとBorchersの解析のこの点における動機の一つは、こういう調査方法の違いが資源量推定の違いの主な原因かどうかを調べる点にあった。
上記1)について会合では、限られた数の比較のもとでは、強く推断はできないとの印象を持った。
上記2)についての議論では、JARPAの解析に対する補正の試みが、高密度海域における目視調査不足を補正して、比較に値する絶対(あるいは相対的)資源量の推定をもたらすのに適当な方法かどうかに多くの関心が持たれた。
それらの関心は鯨が群れを形成して高密度や低密度の場所ができるメカニズムの考察から主として生じた。
会合では、集団形成の影響を補正する手法の開発のために更に研究が必要であると考えた。
特に、Neyman-Scott処理を用いた、各年の集団形成の程度のモデル化に基づくよう提案がなされた。
JARPAがIDCRに比べて、同じ場所をより頻繁に繰り返し調査しているという事実は、局所的な資源量の経年変化の程度の推定を助け、整理統合においてより良い結果をもたらすであろう。
会合では、JARPAの調査デザインにおける、高密度海域での調査不足という特徴の補正のための信頼性の高い方法を開発するために、更に研究が必要であると合意した。
もしこれが達成されるならば、資源量の推定結果は絶対的および相対的な指標として役立つに違いない。
シミュレーションが実施され、最低150から200体の鯨から得られたサンプルのミトコンドリアDNAが推定上の系統群の顕著な違いを見つけ出すのに必要であると示された(SC/M97/3)。
普通型のミンククジラの系統群判別について4つの研究が報告された。
最初の研究では、ハプロタイプ頻度で観察された異種混交性を調べるためにχ2検定を用い、系統群の構造が評価された。
χ2検定の結果は顕著であり、IV区とV区に亜系統群が存在するという仮説(たぶん、西部と東部には遺伝学的に異なるミンククジラがいて、中央部ではそれらの混交が起きているという説)を支持した。
2番目と3番目の研究は地理的および時期的な要素を考慮したものであった。
両者の結果は、IV区とV区には異なる系統群がいて、索餌期にはこれら推定上の系統群の混ざり具合が経度的あるいは時期的に変化しているという仮説と整合するものであった。
4番目の研究はAMOVA法の結果を報告した。
推測的に4つの経度上の区域と2つの時期からなる層が設定されたが、確認された137のハプロタイプのうち、どれひとつとして、これらの地理的層に特有ではなかった。
AMOVA法の結果はIV区西部の索餌期前期、および他の層の間で大きな差があった。
すなわち、IV区西部の索餌期前期を除くと、他の層の間では統計的に有意な差異は見られなかった。
矮小型と普通型については、体の色や形態計測および骨格計測を含む比較研究が進行中であると報告された。
普通型ミンククジラの系統群判別については、ある形態計測分析が365頭の鯨を3つの層に分類した(IV区西部前期、IV区西部後期、IV区東部前期)。
多変量解析が見出したところでは、これら3つの層は厳密に分けられるわけではないが、しかし、IV区西部の索餌期前期の鯨は他の層のものとは著しく異なることは判った。
会合の参加者の間では、遺伝学的にどの程度の違いが系統群や種の違いという点で重要なのかという点で議論になった。
一般的な標準としては種のレベルでの違いは比較調査によって確立されている(すなわち、分類群における「良い」種の間の遺伝距離が推定上の種の標準としてよく用いられている)。
だが、系統群構造においては、答えはもっと不明朗である。
Taylorは付属文書Gで、集団間で入れ替わった個体の数は連続的であるとコメントしている。
統計用語では、個体の集団を1つあるいは2つの系統群に分類する前に考慮しなければならない「違いの程度」はエフェクト・サイズ(効果量)と呼ばれる。
重要なのはエフェクト・サイズが系統群構造の調査に着手する前に明確にされることである。
というのは、エフェクト・サイズをあらかじめ明確にしなくては、あるエフェクト・サイズを信頼性をもって見いだすための必要なサンプル数を決めることができないからである。
Taylorは科学委員会に対して、2つの推定上の系統群が資源管理上の異なる単位であることを示すために必要とされるエフェクト・サイズの基準を決めるように奨めた。
何人かのメンバーは、系統群判別において、RMPの実施シミュレーション・トライアルのための重要課題は索餌域での集団数や分布ではなく、繁殖に関わる集団数であると述べた。
しかし南氷洋の普通型ミンククジラの繁殖群の数やその分布はほとんど知られていない。
これまでのところ、南氷洋の普通型ミンククジラの系統群構造を調べるためにミトコンドリアDNAからもたらされる情報だけが用いられ、既存の生体組織から核マーカーを用いて系統群構造を調べるのは途上であることが留意された。
また、遺伝子データの統計的解析において、群れの大きさを共変量として含むことを考慮すべきであると認識された。
なぜなら、1)異なる大きさの群れが等しい確率で見つけられてはいなく、2)遭遇した群れにおいて、小さい群れからの鯨が大きい群れの鯨に比べてサンプル過剰となるから、である。
系統群構造に関して提供されたデータ、特に新しい遺伝子データがJARPAと資源管理の目的への重要な貢献である点が広く合意された。
さらに、新しい遺伝子データに基づくと、過去の少なくともいくつかの資源管理上の区域は、南氷洋のミンククジラの系統群の定義にとって不適当であることも留意された。
調査について新たな2つの方針が勧告された。
第1は、推定上の系統群の間の混交を推定するための、遺伝子情報の利用についての理論の開発である。
第2に、繁殖域と索餌域における特定のハプロタイプの分布と頻度の対比のために、繁殖域のミンククジラから生体組織のサンプルを得ることに着手すべきであるという、科学委員会の以前の勧告が参加者に支持された。
RMPとの関連では、新しい遺伝子情報は、資源の包括的評価の際には認識されていなかった、IV区におけるミンククジラの系統群構造における時期的要素というものを示した。
長期的には、遺伝子情報はRMPの改良版を完成するのに使える。
これら遺伝子データ(すなわち繁殖域や索餌域の推定上の系統群の遺伝的関連のデータ)がRMPの実施のシミュレーション・トライアルの開発や、商業捕獲の一般的な管理などにおいていかに用いられるかを明記した規約が開発されるべきだということが提案され支持された。
さらに、会合のこの項目で議論された情報は、IV区とV区に2つより多くの遺伝学的に異なる普通型ミンククジラの系統群が存在する可能性を除外するものではないことも留意された。
例えば核DNAを用いた今後の分析が系統群構造をさらに明らかにする可能性がある。
致死的方法に対する代替手法についての科学委員会での過去の議論の繰り返しを避けるため、2つ見解の支持者はそれぞれの意見を要約した。
これらは、付属文書 Hに載せてある。
サンプリング手法は、小さな群れからはサンプリング過剰になり、また、調査とサンプリングの手法に起因するもう一つのサンプリングの偏りがあるとの指摘があった。
それは、この手法では鯨の密度が高い海域では目視調査不足を招くものの、サンプリングは過剰になるというものである。
論文SC/M97/6は以前に科学委員会に提出された(ButterworthとPuntによる1996年のもの、Butterworthらによる1996年のもの)、捕獲年齢と資源量データの同時解析の手法の拡張を提示したものである。
この拡張には商業捕獲における16歳以上の鯨に対する漁獲死亡率行列に仮定された分離性に対する考慮が含まれる。
この方法はIV区とV区における商業捕獲とJARPAにおける捕獲年齢、および両区でのICDRとJARPAの目視調査に適用された。
IV区の解析は自然死亡率(M)の推定値として年0.057、1947年から68年の間の加入量の傾向として年5.5%の増加を示した。
多くのありえそうな理由が、研究結果において明らかな1970年から1980年代半ばにかけての加入量のきわだった低下について提出された。
論文SC/M97/11は田中が1990年に提案した方法によって、JARPAの年齢データを用いた自然死亡率の推定についての中間結果を提示した。
この論文は鯨の資源量、淘汰、年齢査定における誤差に注意をはらって、JARPAのデータから推定された年齢組成を用いた。
結果として、自然死亡率の平均の推定値は0.0165(SE=0.13)から0.0167(SE=0.116)の間であった。
論文SC/M97/21は1987/88年度から1995/96年度の間に得られたJARPAの年齢データを2段階に分けて解析した。
この解析では、まず、10歳以下の若い鯨の比率が緯度と群れの大きさに関係している事を見つけ、この依存関係が年ごとに変動していることをを見つけた。
分析はさらに10歳から30歳までの年級グループに対して年齢と捕獲年ごとのサンプルの行列に対して行われた。
著者らの結論では、加入量と死亡率を別々に推定することは、モデルのおける各区間がペアをなすパラメーターを含む、すなわち死亡率は加入量の変化率(1次微分係数)に関係し、死亡率の変化率は加入量の2次微分係数に関係している、等のため不可能である。
しかしながら、線形結合は推測可能であり、いくつかの結果例が示された。
論文SC/M97/6とSC/M97/21の結果が示唆する事柄について活発な議論があった。
議論においては2つの対立する見解に集約された。
一方はSC/M97/6のVPA分析がSC/49/Rep 1の項目4.3.1にある原因の長いリストへの有効な結果を示すと主張した。
もう一方は、両方の手法による捕獲年齢の解析の結果は自然死亡率と加入量の推定の相互連携によって、幾分妥協したものだと主張した。
これら意見の相違にもかかわらず、以下に示すように、結果のいくつかの側面において同意が得られた。
会合では論文SC/M97/6とSC/M97/21ののアプローチを更に追求していくメリットがあると感じたが、これらの手法の推定結果は、JARPAによる資源量推定に伴う困難が解決されるまでは、信頼できないとも思われた。
2つの論文SC/M97/7とSC/M97/22が変異相(訳注参照)のデータについて考察した。
これらは2つの、異なるが一部重複するデータを用いた。
双方ともIV区に限定した分析であったが、SC/M97/7は商業捕鯨とIV区での最初の2回のJARPA航海に基づくものであった。
SC/M97/22のほうはIV区における全5回のJARPAのデータのみによるものであった。
これら2つの分析は共に、変異相の年齢低下を示したが、同じ1950−1970年の間において、SC/M97/7はSC/M97/22の推定に比べて変異相の年齢低下で2倍の量を示した。
会合では、これら2つの変異相の研究の違いを解決することが重要であると合意されたが、しかし同時に、変異相は年齢のみに関係した効果としてだけでは説明できない点も合意された。
多くの参加者は、証拠は全体として、研究された集団での成熟年齢の実際の低下を示すのに十分であると考えた。
また、性的成熟、見かけの妊娠率、性的成熟時の体長と年齢、年間排卵率、成長についても結果が示された。
調査計画の目的の一つは、生物学的パラメーターの推定のためにランダム・サンプルを集めることにあった。
結果が示すところでは、これは想像されていたよりは困難な作業であった。
サンプリング方法に向けられた多大な注意にもかかわらず、ランダム・サンプルを得るのに完全に成功したわけではなかった。
会合では、サンプリング領域の地理的な境界設定が、生物学的に別個な集団のサンプリングや集団内の全階層のサンプルをもたらさなかったことが留意された。
サンプルの代表性についてこれらが示唆するところは、今後の考察を要する。
しかしながら、VPA分析(例えば、論文SC/M97/6)が年齢層全体のごく一部についての代表性を持つサンプルのみを必要としたことが留意された。
10歳以上の鯨については、ランダム・サンプリングの目的が達成されなかったことを示すものは何もなかった。
会合では遺伝学的研究が今後の解析では地理的境界の再定義に使われるべきであると考えた。
会合では、生物学的系統群を完全に代表する情報が得ることが可能かどうかに不確実性があることが留意されたが、目標に向けて多くの前進があったことは認められた。
JARPAが始まる前には、IV区とV区の鯨は異なる系統群として管理されたが、両区における生物学的系統群についての、より明確なイメージが今は判明しつつある。
今現在の知識に対してはまだ多くの要求があるが、IV区とV区の系統群の状態を反映する多大なデータが集められ、多くの貴重な結果が得られた。
会合では年齢構成の情報をもたらし得る非致死的調査方法(例えば、自然標識)があったことが留意されたが、補給およびIV区とV区でのミンククジラの豊富な頭数が、それらの調査を成功させることを恐らく妨げたであろう。
資源管理の作業への関連性では、1993年に科学委員会はRMPの修正をするメカニズムを提案した(IWC,1994a)。
科学委員会ではケースごとのRMPの実施への修正メカニズムとRMP自身に対する修正メカニズムを区別している。
会合では、この文脈において、管理の目的に対する、より良い知識や生物学的パラメーターの関連性について議論した。
つまりケースごとのRMP実施への修正に相当する短期的改善と、RMP自身の根本的変更を示唆する長期的な改善を区別したのである。
短期的な観点から認識された3つのポイントは、1)小海区の定義の変更、2)キャッチ・キャッピングやキャッチ・カスケーディングなどのRMPのオプションの選択の変更、3)RMPの実施シミュレーション試験で用いるMSYR(訳注)の妥当な値の範囲の変更、である。
長期的な観点からは、生物学的パラメーターの知識の改善はRMPの捕獲枠決定アルゴリズムの修正につながる。
会合では、論文SC/M97/6の分析にあるような加入量データは、信頼できるデータがあれば、資源量加入モデルに適合させてMSYRの推定をもたらすことが留意された。
SC/M97/6やSC/M97/21にあるような加入量の時系列変化は、将来、南氷洋のミンククジラのRMPの実施シミュレーション・トライアルを調整する際に使える。
そして、もしJARPAによる資源量推定について表明された懸念が解決するならば、重要な生物学的パラメーターの推定法の開発と合わせて、JARPAの結果は短期的および長期的に、直接に資源管理に関わってくる。
1996/97年度の調査計画ではこの目的は「鯨の索餌生態系を通じての南氷洋の海洋生態系における鯨類の役割の解明」と言い直されている。
調査計画は胃の内容物と皮脂の量の分析によるミンククジラの索餌生態系の研究に力点をおいている。
鯨の毎日の推定食物消費量は体重の3%から4%であった。
IV区における年間の推定食物消費量は142万トンから178万トンになる。
V区においては、598万トンから749万トンにわたる。
IV区における値はおおざっぱにいって、この地区のオキアミの全重量の25%に相当する。
V区におけるミンククジラのオキアミ消費量はアデリーペンギンやカニクイアザラシの推定オキアミ消費量に比べて1ケタ大きい。
肥満指数については雄雌の間の違いは見つからなかった。
肥満指数の季節変化と胎児の大きさごとのその分布から、一部の鯨は南氷洋で越冬し、他の一部は遅れて索餌場に到着することが示唆された。
初期の商業捕獲とJPAPAの標本の分析は1978/79年度以降に皮脂の厚さが徐々に薄くなっていることを示している。
会合では論文SC/M97/17で日々の食物消費を推定するのに用いられた3つの方法が極めて類似した結果をもたらしたことに留意した。
また、これらの推定値が南氷洋のミンククジラの総食物摂取量の推定に信頼をもって使えることが同意された。
会合では論文SC/M97/18で示された生体状況指標が更に洗練を要すると考えられた。
また、分析結果から一部の鯨が高緯度海域で越冬し、一部の鯨が索餌期に遅れて到着すると推測できるとは確信できなかった。
会合では、着手された研究が「鯨の索餌生態系を通じての南氷洋の海洋生態系における鯨類の役割の解明」という目的に貢献していると合意された。
しかし、海洋生態系における鯨類の役割の解明には今現在の餌生物の分布と資源量の研究が必要とされることが指摘された。
また、動物プランクトンと捕食種の研究を伴う、物理学的および生物学的な海洋学の情報を総合した前進指向の研究が有用であると提案された。
おそらくその種の研究は、ラジオ・タグによって、JARPAで行われているものより小規模に、10キロから100キロ程度で実施されるべきであろう。
このような研究は生態系における相互作用についての特定の仮説を検証するために実施されるべきであろう。
会合ではJARPAの研究がそのような仮説の定式化と研究課題の選択のために有益な情報をもたらした点で合意した。
周辺部の海氷域は、明らかに前進指向の研究の候補地である。
会合では、そのような研究がCCAMLR(訳注)や南氷洋GLOBEC(訳注)に関心を持たれるであろうことに留意した。
会合では1970年代終わり以降の皮脂の厚さの減少についての報告に留意した。
このような情報は今後のRMPの実施シミュレーション・トライアルにおいてオキアミ余剰仮説の範囲を設定するのに貢献する。
肝臓における水銀濃度の分析は、性、地理的位置、時期によってグループに分けられた。
若い鯨の肝臓における水銀濃度は最後の10年で減少したように思われる。
これはこの10年間で、過去に増加した水銀の摂取が減少に転じたことを示唆している。
会合ではベルゲンでの「化学汚染と鯨類に関するワークショップ」の勧告(IWC,1998)が参照され、JARPAにおける汚染の研究がこれらの勧告に沿ったものであると認められた。
南氷洋における調査についての論争点の一つは、南氷洋における補食者の資源量の変化がオキアミの余剰によるものか、環境変化の影響によるものか、という対立する仮説への重点のおき具合にある。
会合ではこれらの2つの仮説を区別することが困難であると認識された。
当面の間、皮脂厚の変化と加入量の変化の観察が、南半球のヒゲ鯨への今後のRMP実施の試験のシナリオの構築に使用に向けて、環境変化の鯨類への影響についての特定の仮説を定式化するのに用いられるべきであろう。
ミンククジラの管理への寄与
第1に、生物学的パラメーターを推定するという目的のもと、JARPAがもたらした情報は南氷洋のIV区とV区におけるミンククジラの長期的な資源変動についての多くの疑問に答えるための設定をした。
驚くべきことではないが、JARPA調査計画の中間点にある現段階では、年齢分布や資源量を求めるのに必要な時間の規模や、代表性のあるサンプリング法のデザイン、あるいは、南半球のミンククジラの系統群構造の理解、などにおける予期せぬ問題のために確定的な答は得られていない。
例えば、JARPAはすでにIV区とV区のミンククジラのいくつかの生物学的パラメーター(例えば、性的成熟年齢の直接測定)の理解において大きな貢献をしたが、まだ、資源管理の潜在的問題のすべてを扱ってきたわけではない。
第2に、南氷洋の生態系におけるミンククジラの役割の解明という目的のもと、JARPAは上に述べた生物学的パラメーターと併せて、鯨の体の状況のデータを収集したが、これはこれらの海域におけるミンククジラの状態についての理解を改善するであろう。
これらのデータはオキアミ余剰モデルのいくつかの側面に関わる様々な仮説をテストするのに役立ちそうである。
第3に、「環境変化の鯨類に与える影響の解明」という目的のもとには、環境変化に伴ってミンククジラの生物学的パラメーターがどう変わるかについて、かなりの不確実性がある。
これは、環境変化(例えば、地球規模の温暖化、など)のプロセスについての我々の知識の欠如によって更に増幅される。
例えば、索餌期のパック・アイス(浮氷)の広がりの年ごとの位置の長期的変化傾向は様々な生物学的パラメーターの傾向の解釈に密接な関係がある。
それゆえ、物理学的および生物学的海洋学や餌生物の分布をミンククジラの研究と総合した、中規模な調査を開発する努力が求められている。
第4に、「資源管理を改善するためのミンククジラの系統群構造の解明」という目的のもとにおいて、科学委員会が系統群というものを構成するのは何かに関してあいまいな定義しか与えていないため、この目的に要する遺伝子データの量を決定することが困難である。
系統群というものについての適当な描写は、JARPAの他のすべての目的のために集められたデータの解釈に密接に関わる。
最後に、JARPAの結果は、RMPのもとでの管理には求められていないものの、南半球でのミンククジラの管理を次のように改善する可能性を持っている。1)RMPの実施シミュレーション・トライアルにおいて想定されている起こりそうなシナリオを減らす、2)将来にRMPの実施シミュレーション・トライアルが開発されるべき新たなシナリオの割り出し。
委員会ではレビュー会合の報告書を検討する前に、捕獲年齢の件についての2つの新しい論文について議論した。
論文SC/M97/6(Rev)とSC/49/SH22はレビュー会合での議論をもとにした分析を行った。
前者はJARPAの資源量推定に存在しうる偏り、および、IV区のミンククジラの過去の加入量の推定のための自然死亡率の時間的変化、の定性的な含みについての結果を提供した。
これらの要素は推定される値を変えうるが、論文の著者らは、1960年代終わりまでのミンククジラの加入量の増加傾向を示す、論文の定性的な結論は変えることができなかったとん述べた。
SC/49/SH22はこれらの加入量の推定をBALEEN IIモデル − それにおいては1930年から1960年の環境収容量を増加させることが可能 − における僅かな変化によって一致させた。
そこでは、SC/49/SH22が示す1970年以降の加入量の減少パターンが、捕獲と補償作用を合わせた結果から予測される通りであることを示した。
また、SC/M97/6の分析結果をもとにしてMSYRを推定できることが示され、RMPの実施シミュレーション・トライアルに使われる情報とこの分析結果のつながりを示唆した。
科学委員会におけるSC/49/Rep1の議論は2つの点に集中した。
ひとつは、とりわけ付属文書Gから生じた系統群構造の問題で、上記12.2.1.1に要約されている系統群構造に関する報告と議論に対してのものであった。
JARPAレビュー報告書では、なされた研究を賞賛しながらも、更に研究を進める必要に留意していた。
管理の対象となる系統群は何から構成され、それは生物学上の系統群とどう関連するのかとか、時期的および地理的な境界の間での顕著な遺伝学的な違いや関係を見つけられない状況で、どんな推論ができるのか、といった質問が科学委員会の分科会の多くにおいて数年の間、委員会に重荷をつきつけてきた。
もうひとつは、代表性のあるサンプルの収集の問題と、それの調査計画への関わりについてであった。
この点の重要性を考慮して、(1)JARPA報告書における、系統群の判別とサンプルの代表性の一般的な問題に取り組み、(2)今委員会に提出された系統群判別と過去のサンプルの利用についての論文(SC/49/SH28)を特に考察するため、Polacheckが率いる2つの作業部会を設けることで合意した。
後者の論文は、いくつかの事実に基づく情報を組み入れるように僅かに修正して、付属文書 U1として収録しておく。
前者の作業部会の報告書は科学委員会の報告書に入れられることで合意された。
付属文書U1の議論において科学委員会は、論文SC/49/SH28で提案されている、系統群判別問題に答えるための、商業捕鯨で得られたサンプルの価値について取り組むためのコンピューター・シミュレーションは可能であると合意した。
また、適切な情報が与えられれば、シミュレーションは実施されるべきであるとも合意された。
しかしながら、商業捕鯨で得たデータには、利用可能性や存在を主に、いくつかの課題が残されている。
商業捕鯨で得られたサンプルの目録を作ることが大きな仕事になることが認識された。
日本の科学者は、少なくともいくつかの海域については、この課題に着手することに同意し、委員会はこれを歓迎した。
付属文書U1で議論されている最後の課題は、商業捕鯨で得られたサンプルの遺伝学的研究が適当であると判明した状況における、更なる捕獲の必要性への疑問に関するものであった。
これは議題12.2.1.3と12.3.1で議論されている。
より一般的な問題に戻り、委員会はレビュー会合がJARPAの生物学的パラメーター推定という目的に対する見解として次のように概観していたことを思い起こした。
それらの予期せぬ問題は解決されたのか、またそうでない場合には、JARPA計画がその目的をかなえる可能性にどのように影響するのか、といった質問がなされた。
系統群構造に関しては、サンプルの代表性やJARPAの資源量推定における偏りなど、未解決の問題は残っている。
資源量推定やサンプルの代表性といった質問は、サンプリング対象となっている系統群について評価されねばならないために、それらの問題には相互に関連がある。
委員会は系統群判別の問題は、ほとんどすべての鯨種の評価に共通であることに留意した。
JARPAにおいて収集されたデータと実施された調査は、過去の商業捕鯨からのサンプルとともに、この問題に立ち向かうためにかけがえのない貴重なものでる。
委員会はこれら未解決の問題と取り組むために、10の分野を割り出した(表2)。
藤瀬はこれらすべての課題についての作業が、進行中であるか、最近開始されたか、計画段階であることを示した。
下手な素人訳ですので、今後手直しをする可能性はあります。 26/Feb/2000)
12.2 現行の科学許可の結果のレビュー
12.2.1 日本 − 南半球
12.2.1.1 JARPAレビュー会合の報告 −
科学委員会議長による、レビュー会合の報告書 SC/49/REP 1 の要約
作業部会は1997年5月12日から16日の間、東京のマリナーズコート・ホテルで
会合を持った。
会合はSchweiderが召集し、Reillyが議長に選ばれた。
(2)それらの調査結果について、調査計画で表明されていた目的、
およびIWCの決議で述べられていた目的に対する貢献。
当初の調査提案とその後の追加
大隅は日本の当初の目的が以下のものであったと報告した。
(2)南氷洋の海洋生態系における鯨類の役割の解明
(4)資源管理を改善するための南半球ミンククジラの系統群構造の解明
藤瀬が簡単な要約を示した。
2度の予備調査が1987/88年度及び1988/1989年度に実施され、翌年から16年にわたる本調査がIV区とV区(訳注)交互に開始された。
1995/96年度及び1996/1997年度には、系統群の期間限定の予備調査のためにそれぞれIII区東部とVI区西部に調査海域が拡張された。
彼は本調査には2つの要素、すなわち資源量の傾向の推定を主目的とした目視調査と、それをもとに生物学的パラメータを推定するための標本採取、があると述べた。
計画の最初の提案では毎年IV区またはV区から825頭採取する予定だったが、2年の予備調査ではIV区とV区それぞれの一部から300頭プラスマイナス10%を捕るよう計画された。
予備調査の結果をもとに、死亡率の期待される推定精度と可能な調査能力のバランスを考慮して、本調査においても300頭プラスマイナス10%を捕るよう決定された。
1995/96年度にはIII区東部から100頭プラスマイナス10%、続いて1996/97年度にはVI区西部から100頭プラスマイナス10%の採取が、系統群構造の研究のために追加された。
当初は3隻の採集船プラス母船が用いられたが、1995/96年度からは目視調査を強化するために4隻目の船が追加された。
計画の進展中における、これらおよびその他の変更は科学委員会でのコメントに対応する形でなされた。
当初は矮小型ミンククジラと普通型ミンククジラの双方が採取されたが、前者の採取は1993/94年度から止めた。
トータルではIV区で1,546頭、V区で1,546頭、III区東部で110頭、VI区西部で110頭の普通型ミンククジラ、および16頭の矮小型ミンククジラが1996/97年度の漁期の終わりまでに採取された。
JARPA計画とその成果についての過去の議論の概観
会合では、科学研究の量と質が科学委員会で賞賛されてきた一方で、資源管理の考察に関して様々な異なる意見が科学委員会で表明されてきた事にも留意した。
論争となった問題のリストは付属文書 Fに過去の科学委員会のレポートからまとめておいた。
A.目視調査と資源量推定
背景:当初の、および追加された調査目的
調査の目的が資源量推定の準備(RMP(訳注参照)への入力のため)を本質的に含まなかった事を考慮し、計画のこの点の意図について説明が求められた。
大隅は、目視調査の第1の理由が目的1(生物学的パラメータの推定)への寄与にあるものの、RMPやそれに付随する南半球ミンククジラのための適用過程との関連も、派生的な目的として見なされるべきであると述べた。
方法論とデータ収集
接近方法(群れのサイズを決めるための)は、鯨の採取のための余分な時間と、接近対象がミンククジラに限られる点を除けば、IDCR調査(訳注参照)で用いられた接近法式と同じである。
採取に従事した目視採集船は平行なトラックラインに沿って調査をしたが、1991/92年度からは、資源量推定への採取活動の影響を調べるため、いかなる時も1隻は目視のみに従事した。
解析の方法
2つの論文が資源量推定のための目視データの解析を提供した。
解析の方法における2つの論文 SC/M97/1とSC/M97/23の相違は、前者が有効探索幅 wの推定において群れのサイズを階層化するのに対し、後者がすべての群れをいっしょにしてwを推定し、その後に群れの推定総数に群れの平均サイズをかける点にある。
更に、SC/M97/23ではデータをAIC統計に基づいて少なく階層化して、データにフィットしすぎるモデルに伴う高い変動を押さえている。
両方の解析ではトラックライン上の発見確率g(0)を1.0と仮定している。
資源量とその傾向の推定
論文SC/M97/23の著者らは、1)補正されない推定値はSC/M97/1における推定値と良く一致し、2)補正された推定値は1つの例外を除けばICDRの接近法式による資源量推定より一貫して低くはなく、この結論への信頼は彼らが解析したJARPAの2つの年度以外のデータの解析で同様の結果を生めば、強化されるであろうと述べた。
調査結果がJARPA及び資源管理の目的を達成する可能性
付属文書 D(訳注参照)に関して、会合では上記課題が項目 Bの2.1、2.4、3.1および3.2に関連するという事で合意した。
項目2.4については、異なる方法を用いて異なる海域になされた異なる調査プログラム(例えばIDCR、JARPA、JSV)による南半球ミンククジラの資源量推定を整理統合するという、合意された調査要件に関連している。
B.系統群構造
背景:当初の、および追加された調査目的
JARPAの当初の目的の一つは資源管理の改善のためにミンククジラの系統群構造を解明する事であった。
系統群判別という目的は、遺伝学的手法、及び、そうでない手法の両方によってなされている。
データ収集の方法論
1990年に鯨資源の包括的評価において系統群構造に関して提示された情報は、商業捕鯨で集められた生物学的サンプルに基づいている。
商業捕獲の性格からして、これらのサンプルはパックアイス周辺に分布する鯨から集められた傾向が強く、IV区およびV区内に均等に分布していたわけではない。
これとは対照的にJARPAでは、1987/88年度から1995/96年度の間に2887頭のミンククジラが、調査海域内に均等に分布した作業によって体系的に採取された。
各鯨からは、多岐にわたる生体組織サンプル収集や体の計測がなされている。
データの解析
ミトコンドリアDNA(mtDNA)に基づく遺伝学的研究が、普通型と矮小型ミンククジラの系統発生的な関係や、普通型ミンククジラの系統群構造を調べるために行われた。
ミトコンドリアDNAを用いた2つの研究は矮小型と普通型の間に明確な遺伝学的違いがあることを示した。
シーケンス分析はまた、南氷洋の矮小型、普通型、北太平洋型、北大西洋型が独立した遺伝学的特徴を持つ集団であることを示した。
さらに、遺伝子データに基づき、矮小型は、南氷洋の普通型ミンククジラよりも、北大西洋や北太平洋のミンククジラに近いことも示された。
総括
著書らが注意するところでは、彼らは現時点において新しい系統群の境界を提唱するわけではないが、彼らの結果は索餌期前期にIV区西部で採取された鯨は、より東側や後期に獲られた鯨とは系統群が異なるという仮説に合致している。
調査結果がJARPA及び資源管理の目的を達成する可能性
参加者は付属文書 Dの以下の点が項目 A(目的1および4)と B 1、2.1、2.4、3.2、3.3に関連しているということで合意した。
系統群構造の研究については付属文書 Dの目的4に明らかに関連しているが、同時に特定の生物学的パラメーターが推定や解釈される方式という点からも重要であると留意された。
C.生物学的パラメーターの研究
背景:当初の、および追加された調査目的
生物学的パラメーター、特に自然死亡率の推定は、当初はJARPAの主な調査目的であった。
なぜならこれらのパラメーターのいくつかの知識は当時は多くの科学者によって鯨の合理的な資源管理に必要であると考えられていたからである。
データ収集の方法論
1987/88年度から1991/92年度の間、最大2頭までの鯨が目標の群れから採取されたが、1992/93年度からは各群れから1頭の鯨を採取するように方法が変えられた。
目標に設定された群れからサンプルを採取する成功率は2頭までを捕っていた頃には0.52から0.75であったが、1頭を捕るように変えてからは0.8以上に増加した。
解析によると、2頭以上からなる群れから捕られた鯨には、サンプリング手法の変化に伴う違いはないとの結論であった。
データの解析と結果
捕獲年齢について3つの論文が提出された。
調査結果がJARPA及び資源管理の目的を達成する可能性
JARPAの目的に関して、会合では提出された論文がIV区とV区のミンククジラの加入量、自然死亡率、性的成熟年齢の低下、再生産パラメーターについて重要な情報をもたらしたことで合意した。
しかし分析にはいくつかの未解決問題があり、さらに研究が必要でもある。
D.海洋生態系
背景:当初の、および追加された調査目的
JARPAの当初の目的の2番目は「南氷洋の海洋生態系における鯨類の役割の解明」であった。
データ収集の方法論
ミンククジラの索餌生態系のデータは、採取された鯨の胃の内容物の重量と種類の構成によって得られる。
それぞれの鯨の体重は、計量用のプラットフォームで計測される。
データ分析
鯨の肥満度の指数は体長と平均胴回りの比率から計算された。
摂餌率の分析(論文SC/M97/17)では3つの異なる方法が用いられた。
結果
肥満度、胃の内容物とその配分を調査した6年間のうち、2年は肥満度が低く、3年は良好であった。
肥満度が貧弱であった年の索餌期の推定体重増加は、良好な年に比べて25%低かった。
IV区とV区北部ではナンキョクオキアミ(Euphausia superba)が圧倒的な餌生物であるが、ロス海の南部(V区)ではEuphausia crystallorophiasがとってかわる。
ミンククジラの分布はIV区よりもV区において年間変動が激しいが、これはV区における海氷の張り具合の変動を大きく反映するものである。
V区においては、海氷が張り出している年には、オキアミの豊富な西部の大陸棚斜面は氷に覆われている。
これが、餌の入手性の低下につながり、結果として氷縁に沿ったミンククジラの密度が極めて低くなる。
ロス海は調査期間を通じて餌の入手性が低い区域であったが、逆説的に、この海域には妊娠鯨を主体に常に多くの鯨がいた。
調査結果がJARPA及び資源管理の目的を達成する可能性
会合では付属文書 Dの以下の点が項目 A2、B1、B2.3、B2.5、B3.4に関連していることで合意した。
E.環境の変化
背景:当初の、および追加された調査目的
1995/96年度の調査計画では「鯨類に対する環境変化の影響の解明」という目的が追加された。
データ収集の方法論
環境変化の研究のためのデータに加え、海上漂流物および鯨の体内における有機塩素化合物や重金属類の汚染物質の蓄積のデータが収集されている。
肝臓、筋肉、腎臓、皮脂などの組織サンプルがこれらの分析ために収集されている。
海上漂流物は目視観察に基づいてきたが、最近では小さな海上漂流物の割合を調べるために網の使用も導入されている。
大気と海水のサンプルが環境の汚染程度をモニターするために収集されている。
結果
南半球におけるPCBなどの有機塩素化合物の大気と海水中の濃度は、HCBを除いて北半球より低かった。
DDTの濃度には年ごとの変化は見られなかったが、PCB系物質の全体的な増加傾向が1984年から1993年の間に認められた。
これはPCB系物質が南半球に広がり続けていることを示唆している。
調査結果と、それのJARPA及び資源管理の目的における可能性
有機塩素化合物の皮脂における濃度が季節変動に大きく左右されていることが留意された。
それゆえ、分析は索餌期の皮脂厚の増加の影響の補正をも含むべきである。
F.結果の概要とそれのJARPA及び資源管理の目的における可能性の概観
JARPAの南氷洋のミンククジラ管理への貢献について、参加者の間でいくつかの主要な点が合意された。
12.2.1.2 科学委員会での議論
科学委員会議長はレビュー会合の議長を務めたReillyの労に感謝し、参加者に詳細な報告書をもたらしたことを称えた。
彼は会合がJARPA計画に関わる諸課題への科学委員会の理解を著しく深めたと信じた。
彼は、時間的制約が議事予定の議題8の遂行を妨げた旨繰り返し述べた。
この項目は科学委員会で議題12.2.1.3として扱われるであろう。
「JARPAがもたらした情報は南氷洋のIV区とVにおけるミンククジラの長期的な資源変動についての多くの疑問に答えるための設定をした。
驚くべきことではないが、JARPA調査計画の中間点にある現段階では、年齢分布や資源量を求めるのに必要な時間の規模や、代表性のあるサンプリング法のデザイン、あるいは、南半球のミンククジラの系統群構造の理解、における予期せぬ問題のために確定的な答は得られていない。
例えば、JARPAはすでにIV区とV区のミンククジラのいくつかの生物学的パラメーター(例えば、性的成熟年齢の直接測定)の理解において大きな貢献をしたが、まだ、資源管理の潜在的問題のすべてを扱ってきたわけではない。」
未解決問題にむけての今後の作業
1. | 資源量の推定: 資源量の推定の偏りを修正するための方法の開発。 |
2. | 系統群構造: 系統群の定義。* 群れのサイズを共変量として含むことを考慮したミトコンドリアDNAデータの総計分析。 JARPAで採取されたミンククジラの核DNA分析の試験的研究。 南半球の低緯度海域からの、遺伝子分析のために生物学的サンプルの採取。** 外形の形態学/形態計測的分析。 IV区とV区における系統群の、ありえそうな境界の調査(地理的、時期的)。 |
3. | 生物学的パラメーター: 棲み分けの研究。 生物学的系統群ごとの生物学的パラメーターの再計算。 |
4. | 海洋生態系と環境変化: 中規模の調査計画。 |
資源量推定において適切な精度を達成することは、生物学的パラメーター(例えば自然死亡率)をJARPAの目的を満たすように適切な精度で推定できるようになるために重要である。
が、偏りを補正することは、現在の推定精度を落とすかもしれない。
補正がJARPAの目的を満たす能力にどのように影響するかを確定するために調査が必要である。
田中は、もしもこの偏りが解明されれば彼の手法(田中らによる1992年の論文、 pp. 531-6) が適用できると述べた。
しかし彼は、楽観的でありながらも、偏りを補正するための完成された方法がないので、資源量推定がその全過程において十分な精度を持つか確信は持てないことに留意した。
SC/49/Rep1では「会合では、サンプリング領域の地理的な境界設定が、生物学的に別個な集団のサンプリングやすべての集団のサンプルをもたらさなかった」とした。
第1の要因は、若い鯨の比率が高い、より低緯度の海域からのサンプリングの欠如であった。
群のサイズや海域という点でも鯨のサンプリングに代表性がないことが認められた。
サンプリングにおける代表性の欠如の主な帰結は、低緯度でのサンプリングの欠如やその他の要素の結果、若い鯨がサンプリング結果において様々な程度に過小に現れることである。
これまでに行われた分析は、10歳以上の鯨のサンプリングは、年齢に関しては代表性のあるサンプリングとして矛盾がないことを示している。
もしそうであれば、JARPAの年齢組成データは、10歳以上の鯨のいくつかの重要な生物学的パラメーター(例えば自然死亡率)を推定することに関しては適当であることは強調されるべきである。
日本の科学者はサンプリングの偏りの問題を解決するために、次のような処理を計画中であると報告した。
(i) リサンプリングのシミュレーション・モデルによって偏りの量を求める。
項目(iii)については、もし、ポスト・モデリングが効果的でないと判った場合に考慮されるべき、現在のサンプリング法に対する一つの修正のアプローチが付属文書 U2に含まれている。
捕獲年齢の解析については、JARPAレビュー会合は次のように結論している。
資源量推定にともなう困難は取り組まれつつある。
JARPAレビュー会合でVPA分析について提起されたもうひとつの懸念は、加入量の変化傾向を自然死亡率の時間的変化傾向と混ぜている問題であった。
この問題は、今年の科学委員会への提出文書SC/M97/6 (Rev)において更に扱われている。
捕獲年齢の解析で完全には考慮されていなかった要素は、これらの解析と系統群構造の不確実性との相互の影響であった。
これらの解析はこれまでの鯨の管理単位によってデータを解析したが、JARPAレビュー会合では遺伝子データがこれまでの管理単位とは整合しないことを示している。
代替の系統群の定義が、捕獲年齢の解析や、これらの解析によって生物学的パラメーターを解析する可能性に、どう関わってくるのかを考察する必要がある。
VPA解析に関しては、系統群構造の不確実性はJARPAで収集されたデータだけでなく、過去の捕獲年齢データにもあてはまる。
この点については、商業捕獲で得られた、保存されているサンプルの遺伝子分析を得ることは極めて重要である。
委員会は、JARPAがまだ計画の中間点にあり、系統群構造の理解において重要な改善をもたらしたことに留意した。
系統群構造がより明確になるにつれ、その情報は生物学的パラメーターの系統群ごとの解析に組み込まれることが予想される。
ただ、これらのいくつかの解析においては、これは簡単ではないかもしれない。
結論としてJARPAレビュー会合は、JARPAにおいて生物学的パラメーターの推定の能力を制約している、サンプリングや系統群構造での未解決あるいは予期せぬ問題のいくつかの解決に貢献しうる、将来の追加の研究分野を割り出した。
これら判明した問題に対応する努力は着手されつつあり、これら追加された研究はJARPAのデータと結果の価値を高めるであろう。
事後層化や代替のサンプリングのデザインを調べるために着手されつつあるシミュレーション研究の最初の結果は、可能なかぎり早く、科学委員会で提出されるであろう。
それらの結果に基づき、より代表性のあるサンプリングを達成するために、目視調査やサンプリングのデザインが変更されるべきかどうかの考察がなされるであろう。
最後に委員会は、JARPAレビュー会合、およびその後に判明した、サンプリングや系統群の判別の問題が、原則として、JARPAが生物学的パラメーターの推定という目的を達成するのを妨げないであろうと合意した。
確認された問題のすべては取り組みが可能であると思われる。
ほとんどのメンバーは、JARPAのデータは計画された追加の研究と合わせれば、生物学的パラメーターを妥当な精度でもって推定できるようになると楽観的だった。
しかに、何人かはJARPAの資源量推定における偏りと変動の程度、および捕獲年齢の解析と系統群構造の不確実性の間の相互作用は、妥当な精度が最終的には達成されるかどうかを判定するのがまだ不可能なことを意味すると考えた。
さらに、資源量推定に関わるJARPAのいくつかの側面は付属文書 Eにおいて考察されている。
それらの議論の概要は以下のとおりである。
論文SC/49/SH10は1996/97年度のJARPA航海の目視調査データについて述べている。
V区とVI区西部では103日にわたって調査がなされた。
3隻の船が目視調査と鯨の採取の双方に従事し、1隻の船が接近方式による目視調査のみを行った。
船は、進出距離モードで作業しながら、異なる任務にも関わらず、ほぼ一斉に平行なトラックラインを保ち、それによって日々の調査は、前日にそれぞれの船が調査を終えた位置ではなく前日の目標地点から始まる(SC/49/Rep1, 項目2.2)。
船団は17,755海里にのぼるトラックラインに沿って調査し、1次発見で850の鯨の群(2,508頭の個体)を見つけた。
JARPAの目視データから偏りのない資源量推定をする手法の開発についての一つの提案が論文SC/49/SH30で示されている。
JARPAの調査デザインでは鯨の密度が高い場所での過小サンプリングを招く。
SC/49/SH30では研究を2段階で達成することを狙いとしている。
第一段階は達成された後に1998年の年次会議においてコメントを求めるべく科学委員会の会合に提出されるであろう。
委員会では提案された枠組みが、原則的に、JARPAデータによる偏りのない資源量推定をもたらす可能性があり、JARPAデータのより進んだ理解をもたらすのに有益であると合意した。
妥当なレベルの精度で偏りのない推定法を開発できるようになる見込みは、空間的な処理が利用可能な共変量を組み込んでモデル化されうる度合いと、ある程度は処理の不変さに依存することが留意された。
(A) 科学許可 (IWC, 1996C)
そして科学委員会に次のように要求した。
この点は議題12.2.1.1と12.2.1.2において議論されている。
また、レビュー会合を以下のように構成することも要求された。
これらの関係は表 3に示されている。
現在のJARPAの調査のデザインでは鯨の高密度海域ではサンプリング不足の結果となっていた。
論文SC/M97/23で示された方法は、このデザインのもと偏りのない資源量推定を展開する最初の試みを提示した。
付属文書Eで議論されているように、この方法の偏りをテストし、さらに、偏りのない資源量の推定法を開発するための作業が計画されたことが留意された。
(ii) 偏りをなくしたり減らしたりすることが可能かどうか調べるために、ポスト・モデリング法を適用する。
(iii) もしそれが効果的でなければ、サンプリング法の修正が検討され、そのような修正の有効性と実用性を評価する。
(iv) その一方で同時に、現在の方法と新しい方法の比較可能性を注意深く評価する。
「・・・ 論文SC/M97/6とSC/M97/21ののアプローチを更に追求していくメリットがあると感じたが、これらの手法の推定結果は、JARPAによる資源量推定に伴う困難が解決されるまでは、信頼できないとも思われた。」
12.2.1.3 SC/49/REP1の議題8に関する議論
委員会はこの件については、JARPAに関するIWC決議、JARPAレビュー会合での関連したコメント、議題12.1.1.2での科学委員会の議論の要約を提供することによって扱うことで合意した。
IWCは以下のように勧告していた。
JARPAの調査目的と科学委員会による調査必要項目の関係
JARPA調査目的 | 科学委員会による優先事項 |
---|---|
(1) 資源管理を改善するための生物学的パラメーターの推定 | RMP: MSYRの議論、実施シミュレーション・トライアルのシナリオに関連 |
(2) 南氷洋の海洋生態系における鯨の役割の解明 | 気候変化についてのワークショップで議論された研究、特に知識の欠落が認められた部分の補完、複数種の問題、に関連、 (Rep. int. Whal. Commn 47:309-10); multi-species issues |
(3) 環境変化の鯨類への影響の解明 | 上記および汚染に関するワークショップに関連 |
(4) 資源管理を改善するためのミンククジラの系統群構造の解明 | RMP: 実施シミュレーション・トライアルの議論と小海区の仕様に関連 |
レビュー会合の報告書SC/49/Rep1の付属文書Fはこの件に関する科学委員会の初期の議論を要約している。 委員会は、過去においては、この件について合意に達することができなかった。
SC/49/Rep1(項目2.5)において、同じ海域における頻繁な目視調査は局所的な資源量の経年変化の推定を助け、さらにはそれらをIDCRやSOWER(訳注参照)、JSVなどの調査と併せることによって、全体にわたる改善をもたらすであろうことが合意された。 しかし、方法における改善が提唱された。
項目3.5のもと、系統群構造のデータは資源管理における使用に値すると広く合意されたが、追加の調査が勧告された。 また、長期的にみて、系統群構造の情報は改善されたRMPの実施シミュレーション・トライアルや改善されたRMPに適切であることも合意された。
項目4.5のもと、調査計画が多くの生物学的パラメーター(加入量、自然死亡率、性的成熟年齢の低下、再生産率)に貴重な情報をもたらしたことで合意された。 しかし、特に、完全に代表性のあるサンプルを得ることの難しさを考慮して、さらに研究が必要なことも認識された。 なされるべきことは多くあるものの、多くの貴重な結果が得られたことが合意された。 短期的な観点では、調査結果は、確認されたいくつかの問題点が解決されれば、RMPのいくつかの側面において貴重であるこのが留意された。
項目5.5のもと、日々の餌の消費量の推定は、総索餌量を確信をもって推定するのに使えると合意された。 しかし、鯨体状況指標を、索餌場への到着時期や高緯度での越冬などの、回遊の情報の推論に用いる点には懸念がある。 会合では研究が上記の目的2に貢献していると合意されたが、追加の研究も勧告された。 また、得られた情報はCCAMLRや南氷洋GLOBECの興味の対象となるであろうことが留意された。
項目6.5のもと、会合では研究が汚染に関するワークショップの勧告の1、4および5に関連していると合意した。 しかしIWC本会議では、ミンククジラの研究が勧告1を直接扱っている程度についていくつかの懸念が表明された(項目6を参照)。
項目7のもと、会合ではJARPAが中間点に達したばかりの長期の計画であることが認識された。 それゆえ、いくつかの場合には、長期の資源量変動についての多くの疑問に答える場を設定したと言えるかもしれない。 また、JARPAの結果はRMPによる管理には必要ではないものの、以下の点でRMPを改善する可能性を秘めていることが留意された。
(1)RMPの実施シミュレーション・トライアルにおいての、起こりそうなシナリオの減少、そして、
(2)RMPの実施シミュレーション・トライアルが開発されるべき新たなシナリオ(例えば系統群構造における時期的要素)の割り出し。
おそらく、JARPAデータの分析結果はこのようにして、資源の枯渇の危険を、現在のミンククジラに対するRMPの実施シミュレーション・トライアルが示すレベル以上に増大させることなしに、南半球のミンククジラの捕獲枠を増やすのに使える。
科学委員会の議論(12.2.1.2)において、系統群とサンプリングについて確認された問題が、表明された調査目的に対する達成能力という点で示唆するところが考察された。 ほとんどのメンバーは、JARPAのデータは計画された追加の研究と合わせれば、生物学的パラメーターを妥当な精度でもって推定できるようになると楽観的だった。 しかに、何人かはJARPAの資源量推定における偏りと変動の程度、および捕獲年齢の解析と系統群構造の不確実性の間の相互作用は、妥当な精度が最終的には達成されるかどうかを判定するのがまだ不可能なことを意味すると考えた。
レビュー会合の付属文書Hは系統群構造の情報の収集に適した致死的方法の使用について支持/反論する声明の要約を載せている。
項目4.5 B.1のもと、会合では年齢構造の情報を提供しうる非致死的方法(例えば自然標識)が利用可能であったことに留意したが、しかし、補給と海域におけるミンククジラの豊富さが、それらの調査が成功することを恐らく妨げたであろうことにも留意した。
科学委員会の議論において (12.2.1.2 と付属文書 U2)、系統群の判別の問題を調べるための、商業捕鯨で得られた、すでに利用可能な適当なサンプルがあるかどうかについての質問がなされた。 商業捕鯨で得られたデータのどれが利用できるかは不明であるが、これを決定しようとする手順は適切である。
(B) 南氷洋における海洋生態系(IWC, 1993A)
JARPAに最も関わる側面は、以下の点であろう。
「科学委員会はこれらのやりとりが提起する問題に取り組むための現実的手段を切り開くべきである。」 ここで「これらのやりとり」とは他の機関と連絡をとって、鯨の資源に関わる南氷洋の環境変化の影響について情報を交換することを指している。
(SC/49/Rep1: 項目 5.5; 項目 6.5; IWC, 1997eを参照)。
項目5.5のもと、会合では得られた情報がCCAMLRや南氷洋GLOBECの関心対象であろうと留意した。
(C) 環境と鯨資源(IWC. 1996B, 決議 1995-10、IWC1997C, 決議 1996-8)
IWC決議1995-10においてJARPAに最も関係するのは、以下の点である。
「汚染物質の鯨類に対する、直接および間接の潜在的影響が判明したら、その情報を提供する」
IWC決議1996-8においてJARPAに最も関係するのは、以下の点である。
「他の機関との協調や協力を強化し、気象の変化と汚染に関するワークショップの勧告や、更に情報を要すると認められる他の項目に基づいて、環境変化の鯨類への影響を見積もる非致死的手段を開発するよう考え、行動する」
(SC/49/Rep1: 項目 6.5; 汚染に関するワークショップの勧告、などを参照)
項目6.5のもと、会合は研究が汚染に関するワークショップ(IWC、 1998)の勧告 1、4、5に関連していると合意した。 しかし、IWC本会議においては、ミンククジラの研究が勧告1を直接扱っている程度について、いくつかの懸念が表明された(項目6を参照)。
項目5.5のもと、会合では、研究が上記に目的2に貢献していると合意された。 しかし、追加の研究が必要である。 また、得られた情報がCCAMLRや南氷洋GLOBECの関心対象になるであろうことが留意された。
JARPA:JApanese Whale Research Program under Special Permit in the Antarctic の略。 南氷洋における日本の鯨類捕獲調査、いわゆる調査捕鯨。
IV区とV区:南氷洋におけるミンククジラ資源に関する経度の区分けは以下のとおり。
I 区 | II 区 | III 区 | IV 区 | V 区 | VI 区 |
120°W − 60°W | 60°W − 0° | 0° − 70°E | 70°E − 130°E | 130°E − 170°W | 170°W − 120°W |
RMP:Revised Management Procedure。 改定管理方式。 90年代に開発された、捕獲枠算定など鯨の資源管理の方式。
IDCR:International Decade of Cetacean Research。 国際鯨類調査10年計画。 1978年から始まったIWCによる南氷洋における目視調査を主体にした鯨類調査。 資金面、船と調査人員の提供、などにおいて日本が大半を負担。
付属文書 D :このレビュー会合で議論すべき科学的項目をまとめたチェックリスト。
変異相:ヒゲ鯨の年齢は、耳から採取される耳垢の年輪状の縞模様から決定されているが、幼い頃には広かった縞模様の幅が急に狭くなる点があり、変異相と呼ばれる。 性成熟年齢の頃における外耳道の成長の変化と関わっているという見方がある。
MSYR:MSY(最大持続生産量)を、MSYL(MSYが達成されている資源量、すなわちMSYレベル)で割った値。
CCAMLR:Commission for the Conservation of Antarctic Marine Living Resources。 南極海洋生物資源保存委員会。
GLOBEC:Global Ocean Ecosystem Dynamics。 全球海洋生態系動態研究計画。
SOWER:Southern Ocean Whale and Ecosystem Research。 1996年にIWCで採択された、IDCRを発展させた南半球の新しい鯨類調査計画。 鯨の資源量だけでなく、異なる鯨種の間の関係、環境との関係なども扱う。 IDCR同様、日本がかなりの部分を負担。
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